周囲にうねっていた黒い影も消えた。
「いいのか?」
身を隠していた辻丸が紅巴や黒い影が消えたことを認識して景之に問う。
「良いわけないだろう。殺す。」
景之は柚木が去った方を睨む。
「……見ての通り兵も疲弊している。それに、あの女だけではない。戸尾の話も片付けなければならない。今は分が悪い。」
だが、と続ける。
「この件が片付き次第、殺してやる。」
そう言って踵を返す。
「戸尾の件について細川に報告する。出立の用意を。」
「……大丈夫なのですか?」
良寧は景之を見る。
「それは出立するための馬があるかの心配か?」
破壊された馬小屋や兵士達が乗っていた馬を見る。
「馬はこの裏にもう一箇所馬小屋がある。」
「そうじゃないです。」
「では、“正気かどうか”という意味合いか?」
「違います。」
良寧は景之の肩を掴んだ。
「貴方を心配しているのです。」
「俺には何の問題もない。」
それに対して良寧が反論しかけたがやめた。
「いいのか?」
身を隠していた辻丸が紅巴や黒い影が消えたことを認識して景之に問う。
「良いわけないだろう。殺す。」
景之は柚木が去った方を睨む。
「……見ての通り兵も疲弊している。それに、あの女だけではない。戸尾の話も片付けなければならない。今は分が悪い。」
だが、と続ける。
「この件が片付き次第、殺してやる。」
そう言って踵を返す。
「戸尾の件について細川に報告する。出立の用意を。」
「……大丈夫なのですか?」
良寧は景之を見る。
「それは出立するための馬があるかの心配か?」
破壊された馬小屋や兵士達が乗っていた馬を見る。
「馬はこの裏にもう一箇所馬小屋がある。」
「そうじゃないです。」
「では、“正気かどうか”という意味合いか?」
「違います。」
良寧は景之の肩を掴んだ。
「貴方を心配しているのです。」
「俺には何の問題もない。」
それに対して良寧が反論しかけたがやめた。