景之の表情は変わらない。
「ガァアアアア」
異形は唸る。
「このものは、闇夜の一族の血に精神が呑まれたというところか。」
(何れ、俺もそうなるのだろう。)
理性を無くした異形を見て景之は思う。
「敵ではない。」
“そうだねぇ~”
黒いものは楽しげに異形を殺す。
「それにしても、未だ呑まれていないなんて……流石、私が惚れた男ね。」
「貴様を殺すまで呑まれるものか。」
「あら、傷つくわ。」
「心にもないことを。」
景之は淡々と言う。
「落ちた人間諸共、殺してやる。」
戸尾と女を見据えて言う。
その表情は何かを決意したようだった。
「貴様を殺す為に、この力はある。」
ゆっくりと息を吐き、黒いものを見る。
「殺せれば、この身ももう要らない。」
その言葉は誰にも聞こえない。
辻丸と良寧は嫌な予感を察知している。
「八倉!」
辻丸が飛び出そうとするのを良寧がぐい、と腕を引っ張って止めた。
「うわっ!」
力が強いので思いきり後ろに倒れて、尻餅をついた。
「あら。」
良寧が驚く。
「ほんと、お前……強いよな。」
辻丸は立ち上がる。
「だって、こうしないと飛び出すでしょう?」
「けれど」
「けれど、ではありません。無闇に飛び出しては、あの黒いものの餌食になるだけです。」
無差別に生きとし生けるもの全てを殺していく黒いものを指差して言う。
「ガァアアアア」
異形は唸る。
「このものは、闇夜の一族の血に精神が呑まれたというところか。」
(何れ、俺もそうなるのだろう。)
理性を無くした異形を見て景之は思う。
「敵ではない。」
“そうだねぇ~”
黒いものは楽しげに異形を殺す。
「それにしても、未だ呑まれていないなんて……流石、私が惚れた男ね。」
「貴様を殺すまで呑まれるものか。」
「あら、傷つくわ。」
「心にもないことを。」
景之は淡々と言う。
「落ちた人間諸共、殺してやる。」
戸尾と女を見据えて言う。
その表情は何かを決意したようだった。
「貴様を殺す為に、この力はある。」
ゆっくりと息を吐き、黒いものを見る。
「殺せれば、この身ももう要らない。」
その言葉は誰にも聞こえない。
辻丸と良寧は嫌な予感を察知している。
「八倉!」
辻丸が飛び出そうとするのを良寧がぐい、と腕を引っ張って止めた。
「うわっ!」
力が強いので思いきり後ろに倒れて、尻餅をついた。
「あら。」
良寧が驚く。
「ほんと、お前……強いよな。」
辻丸は立ち上がる。
「だって、こうしないと飛び出すでしょう?」
「けれど」
「けれど、ではありません。無闇に飛び出しては、あの黒いものの餌食になるだけです。」
無差別に生きとし生けるもの全てを殺していく黒いものを指差して言う。