外へ出る前に、倉庫に立ち寄った。
そこは、未だ荷物を整頓している途中のようだ。
「当主様！」
若い男が片付けをしている手を止める。
「あれは何処だ。」
「おや。戦でもするのです？」
「いいや。喧嘩しに行くだけだ。」
景之は淡々と言う。
「相手は相当なものなのですねー」
「御託は良い。」
「はいはいー」
男はへらへらと笑って奥から刀を出した。
「それは？」
辻丸が問うと、景之は刀を差し出した。
「貴様、刀は使えるな？」
「はっ、馬鹿にするなよ。」
刀を受け取って辻丸は不敵に笑う。
「いいんすか？」
男は景之を見る。
「もう、俺には不必要なものだ。」
「でも、それは」
「煩い。」
“べしっ”
冷たくあしらう景之を良寧が思いっきり叩いた。
「……俺を戦闘不能にしたいらしいな。」
ぐわんぐわんと回る頭を抱えて景之は忌々しそうに良寧を見る。