にこにこと良寧が笑う。
「目が覚めましたか？一人でなどと無謀な。状況把握も出来ていないのに何をおっしゃいますか。」
「！！！、！！！」
景之はその意見への反論よりも痛みを声にならない悲鳴で訴える。
「だ、大丈夫か？」
流石の辻丸も気の毒に思ったらしい。
「あの人だけではなく、陸羽派云々の件も挙動が怪しい輩が居るというのに単独で行動して“どうぞ、的にしてください”とでも言うつもりですか？」
「俺が人間に殺されると？随分と愉快な冗談だな。」
景之は小馬鹿にしたように抑揚無く言う。
格好は先程から変わらず、前屈して顔を覆っている為にいつもの冷淡さは心なしか無い。
「貴様は昔から言っても聞かぬ女だ。駄々をこねる気はない。」
「では、決まりです。初めから素直に従えば良いのです。」
「図に乗るな。」
良寧は得意げだ。