政権が代わってほしいが、彼に死なれたいわけではなかった。
(だが、陸羽派は政治への関与をしなくなった一正殿をどうするだろうか。中には政権ではなく、一正殿に対して私怨を持った人もいるらしい。)
あの性格だしなと考える。
「利光。」
不意に呼ばれて秀尚を見た。
「陸長の元へ行く。」
「何を急に……彼は今軍師として実力を発揮しているものの、此方に不満を持っていることには変わりません。火に油を注ぐようなものです。」
「それでも構わない。」
秀尚は不敵に笑む。
「奴を味方に付ける。」
そして、立ち上がった。