――侍女が待機している一室。
ここには多くの侍女だけでなく、風麗や女兵士も出入りしていた。
女兵士の数は少なく、殆どが埜々や遥葵などと同じ傭兵出身だ。
そこで口論が起こっていた。
「貴方は陸羽派ですの?」
誰が陸羽派で誰が国王派かは前々から噂や腹の探り合いが飛び交っていた。
「私は唯、命じられるがままです。」
そう答える風麗。
探るような視線が飛び交う。
「傭兵だから、金さえあれば容易く乗り換えるのでしょう?」
クスクスと笑う侍女。
それに気に食わない様子なのが女兵士だ。
「あら。あなたの方こそ、尻軽なくせに。」
「なんですって?」
「ごめんなさい。つい、本当のことが口を突いて出ましたわ。」
うふふ、と笑う兵士。
「訂正しなさい。」
「何をですか?」
険悪な雰囲気に風麗は呆れる。
「私達が争ってどうするのですか。」
威圧感を放つと2人を視線で牽制する。
「どうせ、逆らえる身分ではない。どちらを選ぼうと同じことですよ。」