不意に雅之の心に隙間風が吹いた心地がした。
(何を考えている。)
よもや、恋慕ではあるまいなと自嘲する。
今は焦がれているわけにはいかない。
この愛おしいものを巻き込みたくない。
権力、金、名声……そんな渦中に。
ましてやこれより国王の影武者となる自分に。
(ふん、偽善者のような考えだ。)
反吐が出る。
そう苛立つ。
「貴様を愛してる。……とでも言えば、この空漠が埋まるか?」
そう呟き、もう一度自嘲した。
「この俺がこれだけ執着しているんだ。今更裏切ったら、殺すからな。」
苛立ちを押し殺せないままで、その場を後にする。
これ以上問い詰めるつもりはないらしい。
それは既に知っているからか、過ぎった風が問いを浚ったからなのか。
「貴様を殺すのはこの俺だ。」
その言葉を残す彼の背からは何も感じない。
「……やさしいなぁ。」
遥葵は苦笑すると空を見上げた。
(何を考えている。)
よもや、恋慕ではあるまいなと自嘲する。
今は焦がれているわけにはいかない。
この愛おしいものを巻き込みたくない。
権力、金、名声……そんな渦中に。
ましてやこれより国王の影武者となる自分に。
(ふん、偽善者のような考えだ。)
反吐が出る。
そう苛立つ。
「貴様を愛してる。……とでも言えば、この空漠が埋まるか?」
そう呟き、もう一度自嘲した。
「この俺がこれだけ執着しているんだ。今更裏切ったら、殺すからな。」
苛立ちを押し殺せないままで、その場を後にする。
これ以上問い詰めるつもりはないらしい。
それは既に知っているからか、過ぎった風が問いを浚ったからなのか。
「貴様を殺すのはこの俺だ。」
その言葉を残す彼の背からは何も感じない。
「……やさしいなぁ。」
遥葵は苦笑すると空を見上げた。