それはその考えを見透かしているのだろう。
「貴様の目的は解っている。そして、奴らにとってそれがバレることは想定の範囲内なのだろう。」
そう言うと遥葵に近付いた。
込み上げる感情は見ないふりをする。
「本当の目的は貴様には言っていない。何故なら、貴様は俺を欺けないからだ。」
「お見通しなんだ。」
遥葵は寂しげに笑う。
「陸羽派は所詮陸羽派だ。柚木がどう言おうとも、必ず国王を殺しに来る。これは避けられないことだ。」
「そうだね。多分、本命は細川国王の暗殺。私に偵察を求めたのは柚木さんにとっては本当に約束を守るかなんだろうけど、戦力がどれだけあるかの偵察という面もあるんだろうね。それと、雅之さんと国王を見分けられる者が誰か。」
“間違って偽物を殺したら台無しだもん”と遥葵は言う。
「随分と素直に言うのだな。傭兵の責務を忘れたか。」
「だから言ったでしょ?殺されてもいいって。」
どこか投げやりに遥葵は言う。