風麗は何とも言えない表情をしている。
「はぁあああああっ………」
一正は盛大な溜息を吐いて頭を抱えた。
「へ、陛下?」
初めて見る様子に風麗は少し狼狽した。
「わしは考えが足りんな。」
「何を今更。」
「ははっ」
一正はそれもそうだと笑う。
「農民の為……そうすれば、諍いもなくなると思っとった。」
「どう転べども不満や諍いは起こりますよ。」
「せやな。」
何とも言えない表情で言う。
「けれど。」
風麗は微笑む。
「貴方は弱い者を蔑ろにしない。それは、皆にとって、救いとなるでしょう。」
「……だと、ええんやけどな。」
「きっと。」
一正はその返事に頷いた。
「その返事をわしは信じることにする。」
その姿はいつもと同じ笑顔を浮かべながらにして、どこか違って見えた。