一正は肩を震わせていたが、感情を押し殺して戦場を見据えた。
「陛下。」
後ろから、風麗が来る。
「怪我はもう平気なんか?」
「たいしたことないですよ。」
そう言うと、握り飯を渡した。
「それでも食べながら、ゆっくりとしていてください。」
「あぁ。」
一正は受け取って、食べる。
「取り敢えず、屋敷にご遺体を運んでください。」
「はい。」
“誰も見てないから泣きなさい”というように背を向け、屋敷へ向うように斥候に頼んだ。