静かに、一正は抱きしめる。
「……そちと、会えてよかった。めちゃくちゃで、馬鹿な……一正様に、会えてよかった。千代は幸せでした。」
「わしは、あんたを守れなか」
その言葉を人差し指で遮って口付ける。
「ここらで……お暇することにします。暫し、黄泉でお待ちしてますよ。」
まるで、少し出かけるかのように言ってみせた。
「ねぇ。貴方は――――――」
“幸せですか?”
そう問いかけ、静かに息を引き取った千代に一正は頷く。