銀髪は国王を睨む。
「貴方を決して許しはしない!!この、人でなし!!」
「随分と感情的な物言いやな。」
激昂する銀髪に一正は言った。
「訂正しなさい!!そして、父様を愚弄したことを詫びて地に頭を擦り付け、許しを乞いなさい!!」
銀髪は一正の首に刃を押し当てる。
紅い血が首筋を流れた。
「馬鹿の考えなんざ、わしは知らん。」
一正は冷淡な表情で言った。
「“家族を守って死ぬこと”が父親の役目か?違うやろ。“家族を守り続けること”が役目やろ。」
「そんなこと、安全な場所に居続けた人だから言えるのです。」
銀髪は小馬鹿にしたように言った。
「こんな乱世に安全な場所はない。」
「だったら、貴方ならばその言葉通りに家族を守り続けることが出来るというのですか?」
「ジジィは守る必要はないやろうし……これ以上は失わないやろうな。」
一正は悲しげに答えた。
「わしの両親はわしを守って死んだ。」
そう言って、ハッと笑った。
「勝手な奴等や。後に残されたわしの気持ちなんか無視して勝手に死によって。」
「それは、貴方の為に」
「わしは頼んだ覚えはない!!」
銀髪は一正の叫びに視線を落とした。
その叫びはまるで、“両親に会いたい”と願っているようだった。
(この人は父様を馬鹿にして言ったわけではない。大切な両親を亡くして悲しい思いをしたから……)
「貴方も、守るべき者が出来れば、わかりますよ。」
「……」
(そうかも知れない。)
一正の気持ちを察した銀髪に一正は思った。
「………………悪かった。」
少し黙った後に一正は言う。
「え?」
まさか、謝ると思わなかったので、銀髪は頻りに瞬きをしている。