2人は少しの間、抱き合った。

『凛、行ってくるよ。』
『行ってらっしゃい!』
薄茶色の浅黒い肌の子供に父親は手を振った。
『いってらぁっちゃーいっ!!』
『弥々。行ってくるね。』
凛を押し退けて言う茶髪の子供に父親は目線を合わせた。
そして、父親はもう1人の子供に目を向けた。

その子供だけは銀髪の髪をしていた。

その為、周囲からは妖狐の子供だと罵られ、別の妻の子供だと言われた。

しかし、父親は銀髪を嫌わなかった。

だから、家族も誰1人として嫌わない。

『行ってくる。』
父親が言うと、銀髪の子供は寂しそうに頷いた。

そして、父親が外へ出た。

すると、待ち伏せをしていたかのように、眼鏡をかけた男性がいた。
その背後には多くの兵士がいる。
『清零国……』
『いかにも。』
旗印を見た父親は男性を睨んで言った。
『何故、ここに!?』
『細川国の国王様には日頃からお世話になっていますからね。ほんの恩返しです。』
父親にそう答えると、男性は手を上げた。
『化け狐退治の始まりです。行きなさい。』
『はっ!!』
男性が腕を振り下ろすと、兵士は父親に襲いかかった。