――パアン!


青天に響く、乾いた銃声。
直後、スターティングブロックから弾かれるように、8人の第一走者が一斉に駆け出した。

張り詰めていた空気が一気に解け、スタンドには各ブロックからの悲鳴のような声援が轟く。


最終種目、ブロック対抗リレーの始まりだ。


「あっすごい! あの赤の子めちゃくちゃ速いじゃん!」

興奮気味な志保に肩を揺らされ、ぼんやりと見つめたグラウンド中央の400mトラック。
ポニーテールをなびかせながら、赤いはちまきの女子がトップでコーナーを回っていく。


女子は半周、男子は一周。
砂煙の中、それを交互に繰り返しながら、ハイスピードのバトンパスが続いていった。