「じゃあ笑って、羽衣奈さん」
勝利の赤を纏った宙が、嬉しそうにふわりと笑う。
そんな彼の手の平のぬくもりの中で、私はほんの少しだけ、頬をゆるめた。
「なあ、この流れで勝利の女神からのキスとかないの? 俺超頑張ったんだしさ」
「……単独首位だったらしてあげたかもしれない」
「マジかー」
「頭でも撫でてあげようか?」
「……よし、許す」
「はは、あんた何様」
……あのさ、宙。
あのとき私の声に気づいてくれたの、嬉しかった。
絶対教えてあげないけどね。
『無気力女神と何様ヒーロー』
ーENDー
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