「だってほら、名前『Winner(ういな)』だろ?」


開けた視界。
目の前には、宙の笑顔。

今日の晴天がこんなにも愛おしくなるなんて、少し前の私には到底考えられなかった。


「……私昨日、家でてるてる坊主逆さにして吊り下げたんだ。5つ。雨が降って、運動会中止になりますようにって」

「へえ。俺はひとつだけ作ったよ、てるてる坊主」
「……そう」
「たくさん作るより、ひとつに思いを込めた方が効果あるんだって」


宙が両手で、私の頬を優しく包み込む。
水に濡れた手の平の感触が、なんだかくすぐったい。

「運動会、楽しかった?」
「……最後少しだけね」