透明な水が螺旋を描きながら、宙の砂を落としていく。
擦れて赤くなった膝頭があまりにも痛々しくて、私はそっと目を背けた。

「でもまあ、結果オーライじゃね? 同着で1位とれたし」
「……そーですね」

棒読み全開な私の返事に笑いながら、水を止めて宙も私の正面に腰を下ろす。
そして、自分の額に張り付く赤いはちまきをつついてみせた。

「これのおかげ」
「……え?」
「今日さ、有り得ねえくらいスピード出たんだよね。自分でもびっくり。――だから、勝利の女神のご利益あったなーって」
「……勝利の女神?」


私のはちまきが?

……意味がわからず顔をしかめると、急に帽子のつばを上に押し上げられた。