「……ばっかみたい」
宙に連れられてやって来たのは、体育館下の足洗い場。
蛇口をひねって膝の傷口に流水をあてる彼のすぐ傍にしゃがみ込み、私はぼそりと呟く。
「……ほんとばかじゃないの、リレーくらいでマジになって。怪我なんかしてさ」
ゴール直後、前のめりに倒れ込んだアンカー3人は、精根尽き果ててぼろぼろになっていた。
まず、足が痙攣してまともに立って歩けない。
というか、自力で起き上がることすら困難で。
誰も大怪我はしなかったけれど、それでも各々どこかしらに傷を負っていた。
……宙が一番重傷っぽかったのには、もう閉口だ。