スカイブルーなんて可愛いものじゃない。
これはシアンだ。
とにかくものすごく濃い、果てしなく青に近い水色だ。
見上げた秋晴れの空は雲ひとつなくて、憎たらしいほど眩しくて、私は被っていた帽子のつばをぐっと顔に引き寄せる。
「う・い・な・さーん!」
「うわっ」
せっかく深く被り直した帽子を背後からいきなり引ったくられ、――振り向くと。
気持ちいいほどに汗と砂にまみれた上半身裸の宙(ひろ)が、ニッと白い歯を見せた。
「なあなあどうだった? 俺らのタンブ」
「……うん、かっこよかった」
「嘘つけよ、どーせ全然見てなかっただろ」
言いつつ、宙が私のすぐ隣にどさりと腰を下ろす。
途端、運動後の彼から出る湯気のような熱気が頬をかすめた。