いつものように森に薬草ときのこを採りに行く。
もう習慣になっていて、最初の頃の警戒心が無くなってた。
この森には熊が出るんだ。
呑気にきのこ狩りをしている私に熊が気付いた。
さすがに私もそいつの存在に気付いて、すぐにすくみあがってしまった。
恐怖という鎖が私を縛って、私は動けなくなる。

私まだ夢を始めてすらないのに…
「こんな終わり方なんてやだよ!」
そう叫んだ時、私と熊の間にヒーローが現れた。
真っ黒い犬…狼のようだ。
彼が吠えると、熊は威嚇しながらものそのそと帰っていった。
「はぁぁ…」
腰がくだけた。
そうだ、お礼言わなきゃ。
「ありがとうね。オオカミ君」
よく見ると微妙に狼とは違っていた。
狼じゃなくて、オオカミ犬(狼と犬のハーフ)のようだった。
頭を撫でると気持ち良さそうな顔をして、喜んでくれた。
どうやら懐いてくれたみたい。
私は命の恩人をわが家に連れて帰ることにする。
盛大におもてなししよう。