時間が全て止まったんじゃないかと思え
るその空間で、俺はゆっくりとそちらを
振り向いた。



時間も、音も。


雑音さえ、聞こえない。



ただ見えたのは、相変わらず艶のある髪
の毛と、息を呑むほどに美しい微笑みと




ふわり、とした微笑みだった。



そんな空間を動かしたのは、空からふわ
ふわと散ってくる、白い綿毛のような、
雪で。



「……み、み…」


「久しぶり、徹」



優しく舞う白雪の中で、あの夏の終わり
から、ずっと俺の脳内を支配していた、
君が現れた。














「ちょっと抜けます」と言ってから、ま
た騒がしくなったチームメイト達を無視
して、美海を中庭まで連れてきた。