去り際、あの子の目の縁に、光るものが
あったのを思い出しながら。
───傷付かなくて、良かった、とか、
俺ってバカなの?
「傷付かないわけ……ねぇだろ…」
ホッとしてしまった自分を殴りたくなっ
た。
ギリ、と歯ぎしりした時。
「なんっっで断るんだよおぉ!!」
という、叫び声が後ろから聞こえてきて
、振り向けば磯部が立っていた。
磯部だけじゃない。峯本も福田さんも、
後輩たちも……栄生君まで、居る。
そして何故か磯部はワナワナと震えてい
た。
「今のって後藤藍ちゃんだろー!?あん
な絶世の美少女をフルなんて、お前、可
笑しい!」
「盗み見なんて趣味悪いぞ、磯部」
「え。俺だけ!?俺だけなの!?皆同罪
なのに!皆見てたのに!?」
ぎゃーぎゃーと騒がしい磯部。