だから、痛い。



「───……ごめん…」



その気持ちに応えられない事を、知って
いるから。



彼女の瞳が泣きたそうに揺れたから、目
を逸らしたい衝動に駆られた。



「……そういうの、考えたことなくて。
……ほんと、ごめん。気持ちは嬉しい…
…です」



「……ふふっ、岡田くん、顔、赤いよ」



照れてしまって赤くなった頬を隠すよう
に口元を覆いながら、僅かに目を伏せる
と、クスッと目の前の女の子が笑った。



そのことにホッとしてしまう。



傷付かなくて、良かった。───なんて
、傷付けようとしたのは、俺なのに。



「そっか、わかった!聞いてくれてあり
がとねっ!じゃあね!」



そう言って手を振りながら帰っていた後
ろ姿を、なんとも言えない気持ちで見送
る。