「戻りたくないなら、戻らなくていい。
それに、戻すつもりだってない」
「栄生君……」
「僕は嬉しいんだって、言ったろ?君が
こうして僕達になついてくれて、こうし
て心を開いてくれて、──君を、変えら
れて」
すごくキザっぽい言葉のくせに、どうし
て彼が言うと、こんなにもしっくり来る
んだろうか。
歯の浮くようなセリフも、栄生君が口に
すれば全て正論に聞こえてしまう。
……恐ろしいスキルだ。
「……栄生君……ありがとう」
ちょっと照れながらもそう言うと、栄生
君は「どういたしまして」と微笑んだ。
───体育館に行くと、もう既に皆集ま
っていて、それから俺と栄生君も、普段
通りに練習に参加した。
そして、三十分ほど経ったとき。
「岡田せんぱーい!」