変わりたくなんてなかったのに。
俺は、あのままで良かった。あのままが
、良かったのに。
知ってしまった。
楽しいとか、幸せだとか……嬉しい、と
か。
小さな頃───母さんが消えていったそ
の日に俺の中からも永久に消え去ったと
思っていた、その感情を。
皆に、与えられた。それに手を伸ばして
、触れてしまったから。
もう……。
「今さら……戻れない」
ふ、と自嘲気味な笑みが、無意識に零れ
てしまう。
傷つくことが怖いのに、傷つくことにな
るであろう選択肢を選んだ。
きっと、後悔するのは、自分なのに。
孤独に慣れていたのに──もう、無理だ
。