「逆だよ、逆」
「……老けてる!?」
思わず小さく叫びながら、目を見開いて
しまう。
子供扱いされるのも嫌だけど、老けてる
っていうのはもっと嫌だ。
「違うって。老けてる、じゃなくて大人
びてるってこと」
「大人びてる?」
「そ。どこか、遠くから皆を見て、生き
ているようなさ。いつもつまらなそうに
してたし、必要最低限しか動かない」
「……」
「だから嬉しいんだ。徹くんがこうして
バスケをやってくれて、……楽しそうに
、していてくれることが」
ふわりと微笑みながらそう言った栄生君
。
そうだ……。
夏のときまでは、俺は酷くつまらない人
間だったんだ。
特技もなんもない、なにかに貢献したこ
ともない、平凡な人間。