え、なにこれ。……つまり──。



「峯本も……ピンチ?」



思わずそう呟くと、栄生君はクスッと笑
って頷いた。



……なんだそれ。



あいつこの前、英語の補習受ける俺を散
々罵倒したくせに……!



ふつふつと怒りが沸き上がってくるのと
同時に、明日はとことん峯本をいじめて
やろうと思った俺なのだった。

















帰り道、口から吐く白い吐息を見つめな
がら、真っ黒な夜道を歩く。



───一人になると、思い出す。



潤んだ瞳。


ぷっくりとした唇。


艶やかな黒髪。