「私は黒竜と一緒。


 光が嫌いで
 深い、暗闇をさ迷ってる。

 
 それに比べてあなたは
 白竜ね。

 
 誰からも愛されて、
 あなた自身が光になってる。

 光として必要とされてる」




きっとこの女は普段、
無理して笑ってるんだろう。


何となく、そう思った。

いや、初めて見た笑顔が
作りものだった。


だけど、
その作りものの笑顔が綺麗だった。



それは、
この女にとって作りものの笑顔が
本当の笑顔になりつつあるから。




「俺は白竜なんかじゃねえよ。


 俺がもし光として
 必要とされてるなら、
 
 俺を光にしてくれてるのは
 紛れもなく仲間だ。


 それに…

 黒竜は海 又は闇を司る存在。



 深い闇をさ迷ってるんじゃなく、
 海の魚や闇に住んでる生物を
 守ってるんだ。

 
 悪役だけど。

 悪役だから嫌われてるけど。
 

 何色にも染まらず、
 何色にも惑わされず。

 ひたすら自分の色を突き通す。

 自分の守るべきものを守ってる。


 俺は、そんな黒竜に惹かれたんだ」