「そっか…」

「…じゃあね、渉」


「…―――紗玖っ」

「うん?」




振り返れば、



「なに―――…っ」




渉からの、最後のキス。


どうして。
どうしてそんなことをするの?

忘れようとしなきゃいけないんだよ?

私は、あなたと違って、何もすることないの。




「―――好きだった。紗玖」




何で。




「卑怯よ…!何で最後の最後で…っ」

「…忘れないでほしい」

「はあ?!」


「―――いつか。
いつか、俺がお前を守れるようになったら。

その時には――――」