店を出る頃、夕日が差し掛かっていた。
タカシは日が暮れる前に早歩きでアル場所に向かった。
強く引かれる手は何だか卑しさを感じてイヤだが、嫌いじゃない。

「メア…」

廃墟となったビルの裏。私達は包容した。
これで今日はお別れ。毎回の締めの行為だ。

タカシは嫌いじゃない。
だから今も求められたキスもする。それ以上も構わない。
でも、最初の頃に比べれば私から求める事は減った。
なんでだろうね…今じゃディープキスさえも照れを感じない。


でもやる事はやってる。嫌いじゃないから。

でも思い浮かぶ事は、さっきのラーメン屋の茶髪男なんだ。