デイビッドはアイリスの頬から髪へと触れた。
黄金の細くて透き通った髪だ。
「あんまり居たらローズに怒られちゃうわ」
「…そうだな。それじゃ、また」
「えぇ」
デイビッドは名残惜しそうに檻から去って行った。
アイリスは牢獄の中でずっと思い続けていた。
「ウィリアム…あなたに会いたいわ」
ウィリアムを愛し続けていた。
ウィリアムも同じ気持ちであった。
ウィリアムが住んでいる城は自然に囲まれた清らかな場所である。
「…ウィリアム、ウィリアム!!」
「…!!すみません、父上」
「お前の気持ちはよく分かる。しかし、自分を責め続ける必要はないのだよ」
ウィリアムはアイリスが死んでしまった原因は自分が見捨てたことだとを責め続けてきた。
「でも僕はアイリスが生きていると信じている」
「それは私も同じだ」
父はウィリアムの肩に手をあてた。
ウィリアムは外を眺めた。
「アイリス…君に会いたい」