アイリスは生きていた。
牢獄に閉じ込められながらも必死で生きようとしていた。
窓の外では小鳥たちが歌っている。
そんな小鳥たちを見ながらアイリスも歌った。
美しい歌声である。
誰もが癒される、そんな声であった。
「…アイリス」
「…?!デイビッド…」
ローズの弟であるデイビッドが食事を持って来ていた。
デイビッドは檻の鍵を開け、中へ入った。
「…ありがとう」
アイリスはお盆の上に少しのスープと一欠片のパンを受け取った。
「君はここから逃げたいと思ったことはないのか?」
白くて綺麗な手を握った。
デイビッドはアイリスを好いていた。
「もう思ってないわ…」
「…君が美しい、愛おしい、欲しいんだ」
デイビッドはアイリスの頬に手をあてた。
アイリスはどうしていいか分からなかった。
デイビッドもローズに似て美形であった。
デイビッドはアイリスと二人でこの城に暮らしたいと思っていた。