一方、アイリスは母の部屋へ向かっていた。


「お母様…?!」


まだ幼いアイリスは血を流した母を見てしまった。

泣きながら助けを求めに父の部屋に行った。


「お父様…?!」


そこにも血を流した父が居た。


「ローズ…?」


そこに立っていたローズは何も言わずアイリスを見ていた。


「あなたがやったの…?」


「…えぇ、そうよ」


「どうしてそんなこと…?!」


「邪魔だったからよ。…悔しい?殺したい?」


ローズはアイリスを見て笑った。


「…許せない!!」



アイリスは今までに抱いたこともない感情が込み上げてきた。
両親の敵をとりたい。
そう強く思った。



そこにアイリスと幼馴染みであるウィリアムが通りかかった。


「…アイリス!!」


ウィリアムは危険を悟ったのか、アイリスの腕を掴み、城の外へ連れ出した。


「ウィリアム、離して!!」


「アイリス、駄目だよ!…あの女はナイフを持ってた」


「そのナイフでお母様とお父様を…殺したの…!」



アイリスは大粒の涙を流した。
まだ幼いアイリスとウィリアムにとって死は衝撃的であった。




「…あそこに居たぞ!!」


兵士たちがアイリスたちを連れ戻しに来たのだ。


「アイリス!逃げよう!!」


「嫌よ!まだお母様とお父様が中に居るもの!!」


「でもこのままじゃ、あの女に殺されてしまう!!」



そこにウィリアムの父が別の兵士たちを連れてやって来た。


「ウィリアム!こっちだ!!」


「父上!…アイリス、こっちだ!!」


ウィリアムはアイリスの腕を引っ張ったが、動こうとしなかった。