side愛


「ゲームセット、ウォンバイ高瀬愛!!」

審判の声が会場に響く。

大きな歓声が私を包む。


「勝った…。」


言わないと。



広田に言わないと。





でも…








怖い…




言ったら広田ともう喋れなくなるんじゃないかな



広田がまた遠くなってしまうんじゃないのかな





もう戻れなくなるかもしれない…






私…







「おーい、愛ー!!」


聞きなれた声が聞こえる。


「真理、真理…!!」

声を聞いた途端に涙が溢れた。

「お疲れー。って何泣いてんのよ!」


「真理、私、私…」

涙が止まらない。




「ここじゃなんだし、会場、出よ」


真理が私の手を引く。