…そうなるよね。

「何か気に入らないとこあったの?」
また、演奏のこと。
この人ほんっとわかってない。

私は首を横に振った。

先輩は手首を掴む手を緩め、やがては離した。その瞬間何かはわからない絶望感に襲われた。

そして制服のポケットから何かの紙切れを取り出し、私を見下ろす。

「……ほんと意味わかんね」

苛立ちを隠せない様子でその紙切れを私に乱暴に押し付けると、そのまま通り過ぎた。
押し付けられた紙切れは、取り損なった私をからかうみたいに踊りながらしたに落ちた。