顔を気にして廊下に出ると、ちょうど愛梨と鉢合わせた。

「風音!すっごく良かったよ、素晴らしかった!楽しかったでしょ?」

私は何事もなかったように普通に喋る努力をした。
「ありがとう…楽しかったよ。本当に、楽しかった」

桜田先輩との演奏が褒められるのは本当に嬉しかったんだ。
良かった。
成功したんだって改めて思った。
愛梨の言葉によって一瞬さっきまでの後悔を忘れ、私の心が軽くなった。