いっそ気付かれてもいいと思った。この気持ちに。

「なんだよ」
頭を掻きあげる先輩。
…言ったら困るでしょ。
言うわけないし。言えるわけない。だって、まだ完全には終わりたくない。
少しは希望持ってたいもん…。
そのくらいはいいよね…?

「先輩………ありがと」

笑ったつもりだった。

それなのに、先輩を見上げたと同時に冷たいものを目の下に感じ取った。
それが涙だとわかるまで、少し時間がかかった。