と言う訳でおシモが腫れ上がってむくんでいる私は、しばらく患部に消毒布を当てることになった。


消毒布が何枚も入ったポットのような物とピンセットを渡され、トイレに行く度にそれを持参しなければならなくなった。


腫れ上がってむくんでいるのか・・。


どうりで痛い訳だ。


おシモも痛いし、何だかお尻の方も痛い。


お尻の骨が非常に痛い。


ベッドに横たわるのも起き上がるのも一苦労だ。


歩くのだって壁をつたいながらゆっくりゆっくり。


早速消毒布セットとオムツのように大きなナプキンを手に取り、痛みをかばいながら壁をつたってトイレに入った。


よいしょ、と・・。


何とか便座に腰を下ろし用を足そうとしたのだが。


「いてててて!」


思わず叫んだ。


オシッコが会陰切開の傷跡に染みているのだ、切れるような響くような、激しい痛みが尿道付近を襲った。


ちょっとちょっと、私オシッコも満足に出来ないの?


痛い、でも尿意満開、出したい、でも痛い。


手すりにつかまりながらひとりトイレの中で悶絶した。


泣く泣く用を足したら、大きなナプキンを下着に当て、その上に消毒布を載せる。


やれやれ。


消毒布のポットを抱え、壁をつたってゆっくりと廊下を歩いた。


とんでもないな、出産て。


陣痛を経験していないだけ充分贅沢なお産だとは自負しているが、産後にこんなダメージをくらうとは。


もしかしたら陣痛を知らないからこそ、普通分娩の人よりも産後の痛みが余計に辛かったりするのだろうか。


妊婦って大変だなと思っていたけれど、出産てのはもっともっと大変なんだな。


やっとのことで病室に戻り、中心部分が穴になっている「円座クッション」を椅子に置いてそれはそれはゆっくりと腰を下ろした。


一晩で老人になってしまったようだ。


しかしのんびりしている暇は無い。


そろそろ、息子がこの部屋にやってくる。


母子同室が始まるのだ。