だからと言って息子に対して「コノヤロー」などと思う訳でもないのだが、真夜中に家の中をウロウロしていると、つい余計なことを考えてしまう。


まだこの世に登場して数週間しか経っていないのに、息子は私たちの生活の主役に躍り出ている。


1ヶ月健診が終わったらきっと、友人たちは「赤ちゃんに会いたい」と言って訪ねてきてくれるだろう。


とってもありがたいことなのだが、何だか少し面白くないと思ってしまう。


両親たちは、今後は私や夫に会いに来るのではなく、間違いなく息子のために足を運ぶのだ。


私はどんどん、「○○君のママ」になっていく。


仕方が無い。


私は母親になったのだ。


そうか。


こういうことか。


親になるということは、自分の人生の主役を明け渡すということなのか。


なるほど私はその辺りを全くわかっていなかった。


私は、親になる覚悟が全く出来ていなかったのだ。


何だか泣けてきてしまった。


抱っこ紐の中の息子はいつの間にかスヤスヤ眠りについている。


複雑な母の心も知らずに、実に平和そうな寝顔である。


とにかく1ヶ月。


1ヶ月頑張ろう。


私はそう自分に言い聞かせ、寝室へ戻った。