「その点ミルクはラクよね」


母は産後母乳が出ず、私と姉の二人をミルクのみで育てたらしくミルクの話になるとここぞとばかりに饒舌に語り始める。



「ミルクは分量が目に見えるから、私は全然悩まなかったわよ。母乳は量がわからないから難しいと思うけど」


確かに母の言う通り、おっぱいを飲む前と飲んだ後の体重でも計らない限り、赤ちゃんがどれくらいの量の母乳を飲んだのかはわからない。


「悩むくらいなら、ミルクに切り替えたら?」


母の言葉に少し心が揺れた。


できれば私も母乳で育てたいが、色々と悩むのは精神衛生上良くない。


割り切ってミルクに切り替えるのもひとつの手かな・・。


でもこんなにも母乳の出がいいのに、ここであきらめるのはやっぱりもったいない。


「私なんてミルクだったから全然悩まなかったけどね~」


また同じことを繰り返し言っている。


あまり自慢にはならないと思うのだが、何故か自慢気に。


とりあえず、息子はまだ泣いてるしミルクあげてみるか。


私は息子をあやしながら母に声を掛けた。


「ミルク100ml作って」


すると母は眉間にシワを寄せて言った。


「ミルクかあ~、調乳難しいのよね」


私の母は一体何がしたいのだろう。