「石上家の七支刀だ。妖怪を切れる唯一の刀だ。これをあんたにやる。壊そうが折ろうが好きにしろ。それでもダメか?」
できるだけ堂々と。
声が震えないように桜はそう言う。
これでもダメだったら、次こそ実力行使に移ろうと思っていた。
川が渦を巻き始める。
カラン、と上から何か落ちてきた。
白くキラキラ光っている。
千秋が拾い上げたそれは、貝殻だった。
手のひらサイズもある、大きな白い貝殻。
そこに、文字が書かれていた。
『能力は使えない、もう子どもに受け継いだ』
「子ども?」
乙姫の能力は子どもに受け継がせるものだったらしい。
千秋と桜は眉をひそめる。
カランッと再び上から貝が落ちてきた。
桜は素早くそれをキャッチして見る。
『一子相伝。受け継いだのは有明』
それだけ書かれていた。