藍はダンに手を引かれて歩き出す。


「ダンには悪いんだけどさ、私は死にたくないんだよね」

ダンはコクリと頷いた。


「別に夢とかやりたいこととかないんだけどさ。先のことなんて特に考えてなかったし」


今考えれば、弓月は藍の進路に関しては何も言わなかった。
高校に行くことだって、藍と中学の担任の先生で決めた。

好きにしろとは言われなかった。
自分で考えろとは言われたが。


「すぐに死ぬって思ってたから、弓月は私の将来のことは何も言わなかったのか」


次の世代が生まれたら、前の世代は九木に殺される。
そう考えると、弓月の態度も納得がいく。


藍の母親は何人目だったのだろう。
弓月は、死んでいった人のことを覚えていてくれたのだろうか。

乙姫様の元に写真を預けたら、あとはもうすっかり忘れていたのだろうか。

そういう、ものなのかもしれない。