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1105年。
弓月はアテルイ15人目の末裔と共に岩手にいた。
前九年の役、後三年の役が起こり幾分離れた場所では奥州藤原氏が栄華を誇っていた。
つい先日、中尊寺という金の寺を造ったと噂で聞いた。
日々農業をするアテルイ15人目の末裔には縁のない話だ。
15人目の末裔は名前を恒世といった。
つねよ。
日に焼けた顔でいつもニコニコ笑っている女性だった。
「子狐が来ました。」
「そうか。」
「ようやく、母も父もいない理由が分かりました。」
「わしの話を信じていなかったのか。」
「だって、あんまりにも突飛で。」
フフッと笑いながら恒世は腕に抱いた赤子の顔をのぞき込む。
赤子はスヤスヤと眠っている。