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802年。
寒い日だった。
前日に降った雪が森一面に積もり辺りは銀世界。
ちょうど、アテルイが天狗の元へやって来た日と同じ風景。
あの日から二十年の月日が流れていた。
つまりアテルイが死んでから二十年。
弓月はふわりと雪の上に降り立つ。
アテルイの息子には子供ができ、守らなければいけない人間が一人から二人に増えた。
これからは河童と手分けして守っていこうか。
そう考えていた時。
さくり、さくりと。
後ろから雪を踏む足音が聞こえた。
「弓月。」
風に吹かれサラサラと流れゆく白い雪。
弓月は振り返る。
精悍な顔の青年が立っていた。
アテルイの息子。
名は人首丸。
人の首が丸い、でひとかべまる、らしい。
何故このような名前をアテルイが息子につけたのか弓月は知らない。