「じゃあ、九木をどうやって倒すつもり?」
「それはあなたたちの仕事です。あなたたちは妖怪から人間を守るために存在しているのでしょう?」
私には関係ないです、と竹内天音は言い切った。
竹内家は壱与の結界で守られているからいいかもしれないが、その他の人はどうなるのだ。
桜は眉を寄せ口を挟もうとした。
その時。
ピピピピピピ、と無機質な電子音がした。
パッと竹内天音が携帯を取り出す。
「はい。……はい、ありがとうございます。至急向かいます。」
手早くそう言い電話を切った。
パッと顔を上げる。
竹内天音の動きは滑らかなロボットのようだ。
「今までの話は忘れてください。」
「は?」
「蛍が見つかりました。有田藍さんと一緒に。」
ポカン、と。
今自分は最高にマヌケなツラを晒してるんだろうな、と桜は思った。
だが、予想もしていなかった展開にあいた口が塞がらない。
ツチノコを探している間に財布を落として困っていたら、ツチノコが財布くわえてやってきた、みたいな。
財布、ツチノコの唾液でベトベトじゃねーか。
自分でもよく分からないことを考えながら桜は竹内天音を見つめていた。