「俺もその、鬼道学園に行ってもいいか?」
突然、竹内蛍がまさかの提案をしてきた。
「俺さ、姉ちゃんに黙って家出てきたんだよ。だから今頃俺のこと探してるだろうし。」
「それでどうして蛍が鬼道学園に行くことになるの。」
藍の問いに蛍は眉を下げ困ったように笑った。
「姉ちゃんは何かあるとすぐ鬼道学園ってとこのせいにする癖があるんだ。」
だから、今も多分竹内蛍の姉は鬼道学園にいるだろう、とのことだ。
竹内天音。
藍は記憶を辿り蛍の姉を思い出す。
堂々とした佇まいの彼女がヘリで高速道路に降り立った日のことを。
なかなかアグレッシブな人だった。
彼女は竹内家が守っている牛木という妖怪のことをどこまで知っているのだろう。
「そーゆーことで、行こうぜ。」
蛍がそう言って藍を促した時。
バタバタと誰かが駆け込んでくる音がした。