「それよりさ、気付いてる?」
「何を!?」
ゼエゼエと息切れながらも走り続ける。
目指すは一番奥の部屋。
鬼道学園理事長。
伊勢千秋の父がいる部屋。
「東北の妖怪が、近くの、日本海の方にいる。」
「……え。」
キュキュッと、桜は急停止した。
佳那子も、紫月も。
目をパチクリさせて千秋を見つめる。
ハァハァと荒い息遣いの四人。
たらりと、千秋の左のこめかみを汗が流れる。
どこか遠くを見るような千秋の目。
「多分位置的に竜宮城。乙姫の妖力もさっきから殺気立ってるし。」
「さっきから殺気……」
「桜くん、びっくりするくらいつまんない。」
千秋、桜、佳那子とポンポン会話が飛び交う。