「俺の家来る?どっちでも貸すよ。」
蛍の提案に藍は黙って頷く。
じゃ、これ買ってくるから待っててと言い、宇宙雑誌を持って蛍はレジへ歩いてゆく。
入れ替わるように有明とダンが藍の元へ来た。
有明は不満そうに眉を寄せている。
「竹内の家に行くのはやめといた方がいいぜ。」
しきりに周囲をキョロキョロしながら有明がそう耳打ちしてきた。
「なんで?」
「あのな、俺らは今ダンっていう正体不明の未知の妖怪を抱えてんだ。お前のせいで。目立った動きはしない方がいい。それに、」
そこで有明は口をつぐむ。
その瞳には恐怖が浮かんでいた。
藍はぐっと有明に詰め寄り尋ねる。
「それで?」
すっと、白い腕を伸ばし有明がある一点を示す。
足元。
パキ、ポキと音がする。
それにつられて藍が下を向くと。
いくつもに分かれた枝が、藍が今使っている検索機に絡み付いていた。
木が機械を蝕んでいるようにも見える。