⌘
有明はイライラすると貧乏揺りが激しくなるタイプのようだ。
一時間ほど前から足が揺れっぱなし。
それに合わせて茶色いふわふわの髪も揺れる。
「太陽も母さんも来ないんじゃ鍵の開けようもねーよ!」
「そうだね。」
「お前は何勝手にゲームやってんだよ!それ俺のだろ!」
「貸してって言ったよ。」
どうやら藍と有明が入れられた檻は滅多なことでは人が来ない所のようなので暇だ。
暇というか、鍵を盗もうにも鍵を持っている人が来てくれなくて手の打ちようがない状況だ。
檻の中には大量のゲームが山のようにあったので人が来るまでゲームをすることにしたのだ。
といっても、生まれてこの方藍はゲームをしたことがなかったので何が何だがよく分からないが。
「有明ってゲーム好きなの?」
「おう。」
「ふーん。」
カチカチと的当にボタンを押すが同じ所をグルグル回るだけで面白くもなんともない。
やはりやり方が分からなければ面白くないのか。
機械に強くない藍はやり方を理解するまでかなり時間がかかりそうだ。
めんどくさくなってブチッと電源を切る。
「あっ、おいセーブしろよお前!」
「トランプとかないの?」
「人の話聞けよ!リセットババアに怒られんの俺なんだぞ!」
セーブだとかリセットだとか藍には分からない単語ばかりで有明が何を言っているのか分からない。