乙姫様の子供たちは藍を探し出して殺そうとしている。
一刻も早く有明を探しにいきたいのに、二人はそこを動かない。


「なぁ小雨。お前、俺の鼻がいいことは知ってるよな?」

「あぁ、知ってるさ。」


ドキリとした。
こめかみを汗が流れる。

何故だか、言葉を交わす二人が藍の方を見ているように感じた。


「さっきから、あの壺の方に人の匂いを感じるんだが。」


一瞬で心臓が冷やされた。

バレてる。
まずい。
どうする。

ドッドッドッと心臓の音がうるさいほど大きく感じる。

藍は素早く目を動かし辺りを見回す。


そうして、ふっと思った。


藍が身を寄せている壺。


この壺、いくらぐらいするのだろうか。